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2022年7月

慣津波は身近に襲来

ニューノーマルは、今までの慣習や慣例、ならわし、常態(ノーマル)が、大きく変化する様ですが、このニューノーマル(新常態)への急速な移行が【慣津波】です。
ゆっくりとしたニューノーマルへ移行は、いわゆる時代の変化で、昨今の昭和ブームのように“時の流れを楽しく感じるでしょう。しかし急速変化での【慣津波】は、その急変で暮らしの破壊を起こします。  ≪慣津波の詳細は奈良環境知足庵のホームページでどうぞ≫

気候危機に関連した【慣津波】は、気候戦争に入った自然界プレートが、エネルギー戦争という人間界プレートに沈み込む場所に震源地があります。
沈み込む自然界プレートからの膨大な圧力は、人間界プレートの中に歪みを蓄積して、超巨大地震を発生し、【慣津波】を起こします。

残念ながら、この震源地は、IPCCでも科学的調査ができていません。また、【慣津波】の到達速度は月単位です。人間の感性では鈍感になってしまうので、要注意です。
毎月を毎分と考えて観測しておれば、5年が30分ですから、30分後に到達する【慣津波】の予測で良いでしょう。ただし、地形が不明確です。【慣津波】は、湾の地形が影響して被害の大小も大きく変えます。地政学的なBRICsの地形は、IPCCでの観測も手に負えません。

昨今、襲来しつつある【慣津波】は、炭素価値からの高騰や不作・不漁、計画停電など強烈な暮らし変革を伴って、気候変動の課題を市民の肌に直接届けてくれています。【慣津波】の破壊力は、環境カウンセラーに代わって、気候変動の環境啓発をしてくれています。 

・・・余談ですが、では、環境カウンセラーの役割はどうなるのでしょうか。身近なコマーシャルでも、気候変動は普通に使われていますから、気候変動を説明することが無い?
要は、5年を30分で見せることです。「将来世代への備えを現在世代がする責務」の部分です。言い換えれば、一千兆円の国債を現在世代が返すのかどうかです。

                                  吉田 誠宏  

 
 2022年6月 
         「カーボンニュートラルに向けて多くの主体の変革を!」

 5月22日(日)に環境カウンセラー協会の2022年度総会を開催し、いよいよ2022年度の活動を開始しました。2年半に及ぶコロナ禍で今年度も活動の制約があるとは思いますが、できる限り計画に沿った活動を維持したいと思いますので皆様の引き続きのご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。
 今回は、カーボンニュートラル、脱酸素についてIPCCの最近の見解と国内の政府の動きをかいつまんでまとめてみました。IPCCの最新の情報はCAN-Japan主催の「科学とIPCC:私たちはどこにいるのか」と題したセミナーの要旨(吉田理事に紹介していただきました)からです。大気中のCO2濃度は、1950年代300ppmだったのが2021年には413.9ppm迄上昇し、地球の平均気温を0.81.0℃上昇させました。気温上昇は海洋(0.7℃)より陸上(1.42℃)で、南半球(0.7℃)より北半球(1.15℃)で、特に北極圏や南極の局地では3℃を超える上昇が観測されています。懸念されるのはグリーンランドや南極大陸の氷の融解による海面上昇と、低地の永久凍土の融解によるメタンガスの発生による温暖化の加速のようです。海水は多くの熱を吸収し海水表層の海水温度上昇を招き、海水の酸性化も進行しているようです。
 温暖化対策は緩和と同時に適応の時代に入ったようです。国内の動きも散発的ではありますが新聞紙上に散見されるようになりました。日経新聞の5月14日の記事ですが、「脱炭素へ基金20兆円規模」と題して脱炭素社会形成のために必要な投資額や投資分やについて書かれています。基金20兆円は財源として炭素税や排出権取引による財源を充てるようです。基金を基に民間の投資も含め24年度から10年間で150兆円の投資を目標にしています。具体的な投資の見込みが立てば政策も進んでいくことが期待できます。投資分野は今までにも課題に挙がっている、スマートグリッド、地域を越えた送配電網の構築、水素、アンモニアなどの供給網、車載用や定置用の畜電池の製造拡大、CCSや小型原子力などの研究開発分野への投資などのようです。20302013年比46%削減、2050年カーボンニュートラルを達成するという温暖化緩和目標に向かって、バックキャスティングの考え方で今、そして未来に向け何をすればいいか多様な主体が考え行動し、大きな社会的、経済的な変革を受け入れていかなければならない時代に入ったと感じています。

                                  橋本 武一

2022年5月

最近思うこと(科学の発展の善と悪) 

最近、世の中の状況を見ていると、科学の発展が果たして人類にとって善であるのか、悪であるのかが問われているように思われてならない。

18世紀の後半から19世紀の前半にかけて産業革命がおこり、蒸気機関の発明などをはじめ様々の技術の進歩により、世界は飛躍的に発展してそれまでの世の中とは見違えるような社会となり、人々は豊かな生活を送れるようになった。

これを第1次産業革命とすると、19世紀後半には電気、石油の利用による第2次産業革命で一段階飛躍した現代に通じる社会となった。20世紀後半には第3次産業革命によって原子力エネルギーの開発、ITにより従来とは異次元の世界に入った。21世紀の現在は第4次産業革命といわれAIIOTにより人間の制御を超えた世界に入りつつある。

この間人々の生活は、食料の安定的な確保と共に格段に便利で快適になり、また医学の発展により健康的で長命になって、世界の人口は飛躍的に増えた。西暦1年では3億人、1500年で5億人、1800年では10億人、1900年で16億人、1950年で25億人、特に第2次世界大戦後はすさまじく2000年で60億人になり、現在は70~80億人に達している。2040年には90億人、2100年には109億人に達すると予測されている。
 このように科学の発展により人類は豊かになってきたが、それに伴い地球のキャパシティを超える人口を抱え、膨大なエネルギーを消費して自然循環のバランスを崩すような方向に進んできた。さらに原子力エネルギーの確保は原子力発電だけではなく、世界を壊滅させる核爆弾を手にしてしまった。自然はある種の生物が異常に繁殖するとそれを制御する力が働きバランスをとるようになっているが、人間はその摂理を無視して発展し、昔人生50年といわれていたのが、近年80~100年の寿命を手にして人口爆発を起こした。これにとどまらず今や生命の根源にも迫り、さらにAIにより人間の能力を超える異次元の世界に進もうとしている。

くしくも今世界的な問題になっている温室効果ガスによる気候変動(地球温暖化)、コロナウイルスの世界的な流行(パンデミック)、ロシヤのウクライナ侵攻による第3次世界大戦の危機(核兵器の使用)などが同時進行的に襲ってきた今日は、科学の発展による悪魔を呼び込んだ象徴のように思われる。

科学の発展によって人類は本当の幸せを手に入れたのであろうか。それとも大きな過ちを犯したのではなかろうか。青く美しく輝く地球が未来も変わらず続き、全ての人類にとって幸せな世界を築くことが出来るか、今人類の叡智が問われている。

 

        村山壤治


2022年4月

「脱炭素と安全保障がもたらすパラダイムチェンジ」

2050年のカーボンニュ-トラルをめざして取り組みが始まりつつある。一方、
ロシアのウクライナ侵略で、エネルギ-安全保障が注視された。再エネの重要性が認識され、この点から起こるパラダイムチェンジについて述べる。
 

エネルギ-に関するウクライナ危機で判明した点と最近の動きを述べる。

エネルギ-供給の一国依存の危険性
 EUは天然ガスの4割超、石油の3割超、日本は天然ガスの9%をロシアに依存し
禁輸について苦慮している。再エネを増やし自立化を図るべきである。

原発の安全保障での懸念
 ザポリージャ原発が砲撃され、原発への軍事攻撃が現実になった。日本は北海道から九州まで数か所の原発が攻撃されると放射能汚染で住めない国になる。

初の需給逼迫警報を発表
 東北震度6強地震で東京電力、東北電力の一部火力発電所が停止して需給が逼迫した
災害時に補完できるように再エネ発電を増強すべきである。

2030年頃、再エネ発電の4割超が出力制御で賊駄になると予測
 経産省調査で判明したが、都市部に電力を送る送電線増強が不可欠である。

省エネ法改正
 昼間にピークカットで需要を減らし、再エネ発電の出力制御で供給を抑制しているが再エネ余剰電力が出ないように昼間へ電気使用をシフトする。
これらの対応でパラダイムチェンジになると予測する。

エネルギ-は発電コストが安い再エネを主流にする
 再エネは、高コスト、不安定で扱いにくいと言われたが、欧州では石炭火力発電より安く原油価格が高騰すると再エネがさらに低価格になる。

原発は軍事防衛が必要で厄介なエネルギ-源になる
 発電コストが安く、温室効果ガスを排出しないと言われたが、今後は廃炉処理で高 コスト、国防の点からも不安定な発電になる。

昼間にエネルギ-を集中使用、夜間は節電に逆転する
 出力抑制は不要、例えば昼間に氷蓄熱運転、技術進展で蓄電をする。 

これからは真逆の考え方で脱炭素に取り組むことも必要と考える。

    宇野 浩


2022年3月

   脱炭素化技術の進」

我が国の温室効果ガスの総排出量は、2019年に、基準年2013年比14%減の12.12億トン内37%強は発電由来である。更に、産業界・運輸・民生部門の電動化・電化・デジタル化により電力消費が増大し、電力由来の排出が大半を占めるであろう。2050年目標は、排出を革新的に削減し、削減しきれなかった分は除去・吸収し、全体でゼロを目指す。

排出削減法として、①超々臨界圧発電・石炭ガス化複合発電、②再生可能エネルギーの導入、低質炭から水素・一酸化炭素取り出し、④水素・アンモニアへの転換、⑤核分裂する高速炉・高温ガス炉・小型モジュール炉の導入、⑥核融合炉の開発が進展している。⑦省エネ・蓄電システムの技術や材料開発・拡大も不可欠である。

除去・吸収法には、①Co2吸収植物・藻場造り推進、②ゲノム編集ミドリムシでCo2を吸収・炭化水素化、③高耐久木質インフラ・住宅・家具の永年利用、④Co2を枯渇ガス田跡に貯留、⑤Co2誘導化学品やコンクリートに利活用する技術が進展している。

日本はこれらの効果をモニタリングするため、陸・海・空に加え、宇宙から「いぶき2号」で地球上の温室効果ガスの種類と濃度を、高精度で計測し世界に提供している。

今後の注目すべき具体的取組みを例示する。日本の商社連合が、2030年稼働を目指して、豪州西部沖の海底にCo2を貯留するCCSを発表した。低質炭を還元剤として水素やアンモニアを合成する際に発生するCo2を処置する積極的な技術だ。昨年末、我が国商社連合が、12~17円/kwHで秋田沖・銚子沖洋上風力発電が可能と見積り受注した。画期的な低価格である。本年1月、日本原子力研究開発機構は、米原子力企業と次世代高速炉の開発計画に関して技術協力をする覚書を交わした。また、同年2月初頭、欧州委員会は「EUタクソノミー規則」で、天然ガスと原子力発電を条件付きながら、温暖化対策として発表した。原子力活用の機運が、世界的に高まってきた。次世代原発をつなぎとして、更なる理想に向って欲しいものだ。暴走しない・高レベル放射性廃棄物を出さない核融合発電実証炉ITER50万kw;2025年運転目標)の中核技術であるトロイダル磁場コイル、ソレノイド、高周波加熱装置、高耐熱性が求められる融合炉部材タングテンモノブロックの提供などを日本メーカーが受け持っている。2050年には、実用炉が実現稼働するよう期待したい。太陽熱と同様機構で、地球上で膨大なエネルギーを確保できよう。

濱田 久直


2022年2月
         

 脱炭素化につながるグリーンな経済活動を定めたルールは「タクソノミー(分類)」と呼ばれています。EUは2018年に体系的なタクソノミーの策定を表明していますが、日本はタクソノミーの策定に距離を置いています。欧州では、電力の安定供給を保ちながら、気候変動対策を進めるに当たって、新年初の発表で、域外からの天然資源に依存しない、エネルギー安全保障の観点から、原子力発電と天然ガスについて「再生可能エネルギーを基盤とする将来に向け、移行を促す手段」だと位置づけています。

 仏.英主導の脱炭素化、エネルギー安保対応で、オランダ、フィンランド、ポーランド、ハンガリーなど前向きの国々が増加しています。独、スペイン、デンマークなどは反対の意向ですが、原子力、天然ガスは「環境産業」と認定される「グリーン」に分類される方向です。中国や韓国、マレーシアなどのアジア勢もロシアも追従しています。

 このタクソノミーに於けるグリーンの定義は、自動車についても対象になっており、ハイブリッド車に扱いが焦点です。欧州では対象外ですが、中国、日本、マレーシアでは対象になっています。定義の共通化という動きはあるものの、国ごとの思惑の違いから調整は難航しています。

どの国も「環境」といいながら、自国の経済活動に資するのかどうかで判断しているのが現実です。 特に、、原子力について、定義づけに慎重な日本は、自国産業に不利にならないよう国際的な議論への積極的な関与が求められると思います。

                                 吉村 孝史


2021年12月

         「新型肺炎の嵐が去った後で」   

 一年五ヶ月ぶりに新型肺炎の感染者数が千人を切った。諸外国を見れば楽観もできないが、台風一過の感がある。国内での感染者対策が叫ばれてからほぼ二年である。

 なじみの店もいくつか消えた。そして、外出を極力控え、普段歩き回っていたものが動かなくなった結果、体重、心拍数や血圧が上昇した。当然、コレステロールや血糖値もあがり、ズボンはきつくなった。体型はともかく生活習慣病は恐ろしい。医薬品なども考えたが幸いにも8月下旬から感染者数が目に見えて減少し始めた。

 運動不足が原因なら運動で解消しよう。だが、私もアラ還。昔のような無理はできない。一日一万歩を歩くとこに決めた。自分を実験台にしてウオーキングの効果を見てみよう。

 3日ほど続けるが筋肉痛、腰と膝痛はあるが体重や心拍数に変化はない。一週間、10日と経過すると歩いても体は楽になったが体重には変化はない。正直少しめげそうになる。

 二週間ほど経過すると体も慣れてきて2万歩ほど歩いても疲れは残らなくなった。この頃から心拍数は減少し始める。体重比は大きな変化はないが太ももや尻の贅肉が落ちる。一月ほどで血圧や体重も減少し始め少し重めの靴を履いて歩くのが楽しくなる。佐保川や猿沢池でスッポンを見つけ、奈良町で紙芝居屋を発見したりと素晴らしい副産物も得た。

 これからは出歩くことが多少厳しい季節になりますが、自分の足と目と耳で情報を得ることが環境を知る一番の方法だと再認識した次第です。

                                                                        藤田泰宏


2021年11月

「日本に適した発電とは?」

我が国は二酸化炭素排出量削減目標を「2050年までに実質ゼロのカーボンニュートラルおよび2030年の削減目標を13年度比46%減にする」と世界に宣言しました。

11月初めから始まるCOP26会議では日本の対面は一応保たれるかも知れませんが、発表した目標達成のシナリオをどのように実践するのか、また、世界がどのように評価するのかがはなはだ心配になります。
 海外では化石燃料だけでなく、それぞれの立地を生かして電力を賄っている国もあります。例えば、特殊な地理的環境に恵まれたアイスランドは2019年、地熱発電で30.3%の発電を行っており、水力と地熱だけで100%の発電シェアを確保しています。 現在、日本では再生可能エネルギーとして、水力(7.9)、バイオマス(3.2)、地熱(0.25)、風力(0.86)、太陽光(8.5)などがあり、その割合は約20%です。
 ここで、日本は火山国であり保有する地熱資源量は、アメリカ、インドネシアに次いで世界3位ですが、電力に利用されているのはわずか53KWで資源量の2%にしか過ぎないと試算されています。地熱資源は賦存量,安定性などの面で優れた特徴を有する再生可能エネルギーであり、我が国においては有望なエネルギー源であると思われます。

 地域循環共生構想から考えても太陽光や風力は重要なものであることは当然ですが、日本のいたるところにある火山や温泉を見るにつけ、温泉試掘許可申請の経験から考えて、行政、慣例面での規制を再考する時期にきているように思います。 

  坂上正美 


2021年10月

「まもなくCOP26開催於英国」 

今年(2021)11月よりイギリス・グラスゴーでⅭOP26が開催されます。
二酸化炭素排出総量のほぼ
3割をしめる中国は今後9年間二酸化炭素排出増を続けることを公言しており、温室効果ガスの排出削減に向けての国際間やり取りが注目されます。ĪPCCの活動やⅭOPの議論では気温上昇の原因を温室効果ガスに断定していますが、太陽系宇宙の一部として地球を俯瞰すべきとの異論もあります。
温暖化の起因はともかくとして、風水害の大型化や海水面の上昇に対して私達は身近な
ところに視点を置き現状を見つめ直す必要があると思います。

 例えば再生可能エネルギーにこだわるあまり「森林を破壊して」風力発電や太陽光発電施設を設置する、あるいはバイオマス発電を「事業として優先させる」あまり海外から木質ペレットを輸入する事例など、本来の趣旨を逸脱しているのでは?と懸念せざるを得ません。また膨大なエネルギーを使い二酸化炭素を固定して地中に埋設する技術開発がなされています。
宇宙規模・地球規模の計り知れない資源・エネルギーを使って固定化された二酸化炭素が今の石炭や石油です。再生エネルギー云々の前に、先ずはこうした石化資源を大事に使うための省エネの更なる実践や勿体無い精神の継続的涵養が私達に求められていると思います。

電力源については、環境リスクや地政学的リスクを踏まえた分散化・多様化を念頭にした技術開発が、天候に左右されやすい再生可能エネルギーの調整電源として必要であると思っています。余談ですが迷惑施設の典型であるゴミ焼却施設は技術革新が更に進み、今ではエネルギー再生施設として、自治体版分散型・多様化火力発電施設としての一面を垣間見ることが出来ます。特に災害時のインフラ機能に注目しています。

       一瀬正秋


2021年9月

「いなす」技術でまちをつくる

 私は、ランドスケープアーキテクトとして仕事をしています。
ランドスケープアーキテクトとは(適当な和訳が無いのですが)直訳すると風景の建築家。日本では造園家といわれることが多いのですが「造園」は囲われた特定の庭を、外の景観要素を活かしながらつくる技術者ですが、ランドスケープアーキテクトの場合は地域の中で計画地がどうあれば地域の景観として良くなるか、という点でスタンスの違いがあろうかと思います。さらに言えば、地域の風土を基盤に、地形になじむグランドデザイン(造成)をすることから始めることが基本姿勢と考えています。

202173日午前10時半頃に、静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区で大規模な土石流・土砂崩れ災害(土石流)が発生しました。気象庁や行政からの警報や避難情報が出されていながら(「避難指示」はなかったが)大きな被害があり、その原因として上流域の大規模盛土造成との報道に大きなショックを受けました。先述のとおり、地形になじむグランドデザイン(造成)を基本と考える前提として、土木技術に対する信頼性を疑うものではありません。熱海市伊豆山地区での造成工事がどのように行われたのか検証できませんが、少なくとも公的に承認された土木技術で行われたものと考えます。それでも災害は起こってしまったわけです。

私はかつて住宅都市整備公団が開発するニュータウン内の公園を設計していました。そこでは「山を飛ばして谷を埋める」という言葉が普通に交わされていました。大規模開発事業においては当然の行為であったのかもしれませんが、そのような開発事業によって造成された土地に私の設計した公園があり、周辺の住宅と共に豪雨により崩壊するかもしれない。恐ろしいことです。

どうぞこれは妄想であって欲しいと願うばかりですが、10年に1度の豪雨が頻繁に起こる昨今の状況は温暖化対策を怠ったことが原因と考えられます。洪水対策や津波対策も科学技術を過信しすぎている感があります。土木技術を信頼すると言いながら矛盾していますが、確かな技術にこそ信頼は生まれます。災害の原因にヒューマンエラーはあってはなりません。そして自然を巧く「かわす」技術であったり「いなす」技術にこそ真の災害とのかかわり方があるのではないかと考えています。里山も、信玄堤も、沈下橋も、五重塔も自然の力を「いなす」確かな技術だと思います。効率性や標準化が求められる技術の世界ではありますが、その場にふさわしい、その土地に受け継がれてきた考え方や昔ながらの技術をもって「まち」はつくられるものと考えます。その場所性に根付いたまち・社会づくりを求めて行きたいと思います。

                                   室賀 泰二


2021年7月

「未来を担う子どもたちへの環境教育・環境学習」 

環境問題は、地球温暖化やオゾン層破壊などをはじめとした地球環境の問題、ゴミや燃料などの資源・エネルギーの問題、河川の水質や大気汚染など生活環境の問題など、地球規模のものから身近な生活に関わるものまで、とても幅の広い問題であり、世界的な協力による取り組みが必要であると同時に、一人ひとりの身近で具体的な行動が重要です。環境問題に対する継続的・持続的な取り組みのためには、未来を担う子どもたちの役割が不可欠です。自身は長年、学校教育に携わってきましたが、今回は子どもたちへの環境教育・環境学習について触れたいと思います。

環境問題を考えるとき、地球規模の視点だけでなく、より身近な人と環境の関わりを見つめる目も大切です。また環境問題は社会経済システムとの関わりが深いことから、自然科学の知識だけではなく、社会科学や経済学的な観点から考えることが必要となってきます。さらに環境問題は人の生き方や心のあり方の問題であるとも言えます。このように環境問題に関わる教育・学習の範囲は広く多岐にわたっています。近年、学校教育における環境学習の充実が図られており、総合学習や社会・理科・生活など多くの教科に環境学習が取り入れられ、学習指導要領には道徳教育の目標の一つとして環境保全への貢献が掲げられています。

日々多くの情報がもたらされる中、子どもたちがより新しく正しい知識に触れられるようにすることが大切です。自然や環境に対する感受性・関心を高めるためには体験的な学習が効果的です。身近な河川の水質や車の排気ガスによる大気の汚染状況など、自分を取り巻く環境の状態を知ることにより、環境問題が自分たち一人ひとりの問題だと感じることができます。またインターネットを使って世界の人々との交流や情報交換を行うのもグローバルな視点で環境問題を捉え、考えるきっかけになると思います。

環境教育・環境学習の推進は、学校や自治体への働きかけが重要な要素です。学校教育だけではなく家庭や地域社会・企業などが連携し、環境フェアやセミナーの開催、自然体験学習の実施など、子どもたちに活動の場や学習機会を提供することが必要です。

多くの子どもたちが楽しみながら、より良い社会・自然環境づくりや環境保全について学び、具体的かつ主体的に実践する態度を身につけて欲しいと願っています。

 

川辺 惠美子